クリルオイルとは、海中に生息する南極オキアミ(動物プランクトンの一種)から得られるオイル成分で、

①EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)
②レシチン(リン脂質)
③アスタキサンチン

の3つの重要な栄養素を豊富に含んでいます。

EPA・DHAに関しては、魚油にも含まれており、サーモンオイル、マグロオイル、鯉オイルなどが販売されています。
魚油とクリルオイルのEPA・DHAには構成成分に違いがあります。

魚油:トリグリセライド型のEPA/DHA
クリルオイル:リン脂質型のEPA/DHA

リン脂質は細胞膜の構成成分でもあるため、リン脂質型のEPA・DHAは体に吸収されやすく、脳血液関門(BBB)も通過するため、脳にも作用しやすく、脳神経系の改善にも役立ちます。

また、アスタキサンチンという強い抗酸化物質も含まれているため、オメガ3系脂肪酸の酸化が抑制、品質安定の保持に役立ちます。

監修獣医師:林美彩  所属クリニック:chicoどうぶつ診療所

林美彩

代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。

クリルオイルの効能

・脳の老化防止
・高脂血症改善
・肝機能改善
・生殖機能向上
・心筋梗塞予防
・関節炎の炎症抑制
・血糖値低下

クリルオイルに関しては、こちらの記事もご参照ください。
◆クリルオイルは抗炎症作用や認知症予防が期待できる

以下、クリルオイルに関する論文のまとめを掲載いたします。

クリルオイルに関する論文

1.高脂血症の臨床経過におけるネプチューンクリルオイルの効果
出典:Alternative Medicine Review,Vol9,No.4,420-428(2004)
1日当たり1~3gのクリルオイルの摂取により、血統、総コレステロール、中性脂肪、LDL(悪玉コレステロール)の減少、HDL(善玉コレステロール)の増加に効果的であることが分かった。

2.クリルオイルはラットの心筋梗塞後の左心室肥大を軽減させる
出典:Lipids in Health and Desease,10:245(2011)
実験的心筋梗塞後の左心室リモデリング(左心室が肥大した病態のこと)に対するクリルオイルの効果を調査したところ、実験的心筋梗塞を起こす前からクリルオイルを与えていた群は、与えていない群と比較し、左心室肥大が有意に軽減された。

3.クリルオイル添加飼料の摂取は、高脂肪食ラットにおける脂肪肝を抑制する
出典:PLoS ONE 7(6),e28797(2012)
クリルオイルを与えられた動物において、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠ型(CPT-Ⅰ:L-カルニチンと脂肪を結合させる役割を担うもの)の活性化ややカルニチンレベルの有意な上昇が見られ、肝臓の脂肪酸酸化が促進されていることが分かった。また、クリルオイルが高脂肪食の脱共役作用を阻害する結果、ミトコンドリアの酸化的リン酸化が維持、また体重の増加抑制他、高脂肪食飼育動物によくみられる脂質やたんぱく質の酸化ダメージの抑制が見られた。

4.油脂の可能性と健康 クリルオイルと心臓の健康
出典:Food Style 21,Vol.16,49-51(2012)
Zucker肥満ラットと心不全モデルラットにスパーバ・クリルオイル(オメガ3脂肪酸EPAとDHAを豊富に含む南極オキアミのみから抽出したもの)を与えた結果、心臓の健康に有益な効果をもたらすことを述べた。

5.TNF-α(腫瘍壊死因子)遺伝子導入マウスにおけるクリルオイル対魚油の炎症及び脂質代謝調節の比較
出典:
ヒト腫瘍壊死因子(hTNF-α)に永続的に軽度にさらされるモデル動物における魚油とクリルオイルの脂質ホメオスタシス(恒常性)と炎症に対する影響を調査。
クリルオイルを投与することにより、血漿中のトリアシルグリセロールと総コレステロール値の低下、ミトコンドリアとペルオキシソームのβ-酸化を促進させるだけでなく、全体的なカルニチンのターンオーバーを改善することにより、脂質代謝を調節できることが分かった。
魚油の場合、血漿トリアシルグリセロールの低下においてはクリルオイルほどの効果は見られなかったが、総コレステロール値は有意に改善した。
炎症性サイトカインの値に関しては、クリルオイル投与群、魚油投与群について大きな違いはなかった。

6.クリルオイル摂取による血中脂質への影響
出典:薬理と治療,Bol.43 No.5,679-685(2015)
日本人166人を対象に、クリルオイル(1日1g)を摂取した場合の脂質代謝への影響、特に血中の中性脂肪値への影響を検証した。
クリルオイル摂取前後、ほとんどの指標で大きな数値変動が見られなかった中、唯一中性脂肪の値は、クリルオイル摂取以前に基準値以上の中性脂肪値を示した被験者で、数値の顕著な現象が認められた。クリルオイル摂取以前に基準値内の中性脂肪値を示した被験者においては、影響を及ぼさなかった。

7.血管の科学~血管強化・さらさら血流から血糖値改善まで~クリルオイル由来EPA・DHAの可能性―現状と課題―
出典:Fppd Style 21,Vol.20,No.10,50-52(2016)
日本において、「食品の機能性評価モデル事業」のえっか報告で、EPA・DHAは心血管疾患リスク低減、血中中性脂肪低下作用で科学的根拠レベルの最高評価「A」を取得しており、作用メカニズムも含めて十分なエビデンスがある。
魚油のEPA・DHAがトリグリセリドを構成しているのに対し、クリルオイルのEPA・DHAはリン脂質に組み込まれているため、魚油と比較して急性に優れ、戻り臭がないことも特徴であり、抗酸化物質のアスタキサンチンも含まれているため、脂肪酸の酸化を防ぎ、製品の品質と安定性保持に役立っている。

8.慢性炎症や変形性関節症に対するネプチューンクリルオイルの効果の評価
出典:Journal of the American College of nutrition,Vol.26,No.1,39-48(2007)
慢性炎症を有する患者のCRP(C反応性蛋白:炎症の指標)へのネプチューンクリルオイルの効果を評価する無作為化二重盲検プラセボ対象試験を行った。
摂取開始7日後、プラセボグループではCRPが増加したのに対し、ネプチューンクリルオイル摂取グループではCRPが19.3%減少、14日後、30日後もそれぞれ減少が確認された。(p<0.001)。
また、WOMACスコア(膝機能の指標:数値が大きいほど機能低下)についても、著しく低下させた。
プラセボグループに関しては、実験開始14日後まではCRPが増加していたが、30日後には25.1%まで減少した。
この結果から、ネプチューンクリルオイルを毎日300㎎/day摂取することで、7日間~14日間という短い期間で炎症が抑制、関節炎の症状を軽減できることが示された。

9.クリルオイルは軽度膝関節痛に対して改善効果がある:ランダム化比較試験
出典:PLOS ONE 11(10):e.0162769(2016)
軽度の膝痛に対するクリルオイルの効果を確定するために、2014年9月から2015年3月までの半年間、軽度膝関節痛の症状を持つ成人50人(38~85歳)を対象に、クリルオイルまたはプラセボ2gを摂取し、無作為化二重盲検プラセボ対象試験を実施した。
両群とも、JKOM(日本版変形性膝関節症患者機能評価表)とJOA(日本整形外科学会が制定した整形外科的な身体機能の判定基準)で改善が見られたが、クリルオイル群はJKOMの膝の痛み、膝のこわばりにかんする2項目で、プラセボ群よりも大幅な改善を示した。
また、睡眠中や起立時の膝痛が有意に軽減、左右両膝の可動域が広がったことも分かった。
このことより、クリルオイルの摂取(2g/day,30days)は軽度な膝の痛みを抱える成人の自覚症状改善効果が示された。

10.ヒト骨肉腫細胞の増殖と遊走に対するオキアミ油とn-3多価不飽和脂肪酸の影響
出典:Current Drug Targets,Vol.19,No.5,479-486(2018)
ヒト骨肉腫細胞をオキアミ油、魚油、EPA及びDHAへ曝露し、曝露後72時間後の細胞増殖抑制について実験。
魚油においては曝露してから24時間後で有意な変化がなかったものの、オキアミ油においては、曝露24時間後で23%、48時間後で50%、72時間後で64%の増殖阻害が分かった。
オキアミ油の阻害効果は、骨肉腫治療のために一般的に用いられるドキソルビシン0.5および1μMに相当した。
このことから、オキアミ油が標準的な臨床診療と組み合わせて使用することで、原発腫瘍の増殖、そしてより重大な転移を制御する可能性を示している。

11.次世代オメガ3素材-クリルオイル-③~ニッスイクリルオイルの肝機能保護と脳機能改善効果~
出典:Food Style 21,Vol.15,No.12,27-31(2011)
ニッスイクリルオイルを用いた動物実験で、アルコール誘導肝障害の抑制が示された。また、同製品から分離・精製したクリルリン脂質を投与した実験では、神経細胞の保護、海馬の神経細胞新生促進の可能性が示された。

12.健康なボランティアにおいてクリルオイルは低用量で魚油と同等の代謝効果を示す
出典:Lipids,Vol.46,No.1,37-46(2010)
総コレステロール及び/又は中性脂肪が正常又はわずかに高い113人の被験者を対象に、クリルオイル6粒(3g/day、EPA+DHA=543mg)、または魚油カプセル3粒(1.8g/day、EPA+DHA=864㎎)のいずれかを7週間投与。
クリルオイルと魚油の投与群において、統計的有意差がなかったものの、クリルオイル中のEPA+DHAが魚油中に含まれる量の62.8%でも、n-3系多価不飽和脂肪酸の同等の供給源となることが示された。

13.Krill Oilとアンチエイジング-慢性炎症及び生活習慣病予防への期待-
出典:Food Style 21,Vol.16,No.2,26-30(2012)
肥満者の脂肪組織では炎症性アディポサイトカイン(高血圧、高血糖、血栓形成のリスクを高めるサイトカイン)の産生が更新し、慢性炎症を抑制することでメタボリックシンドロームの改善が期待される。
そこで、中程度の炎症を有する患者(心筋梗塞、関節理宇阿知、変形性関節症)を対象に行った臨床試験において、売りるオイル摂取後、炎症マーカー(CRP)の値が有意に低下、また魚油には含まれてないホスファチジルコリンによって、動脈硬化の原因でもある血中ホモシステインを改善、アルコール性脂肪肝や、B型、C型肝炎などを防御する作用が見られた。

14.機能性食品素材の開発 オキアミ由来「クリルオイル」の機能性
出典:ジャパンフードサイエンス,Vol.51,No.7,17-22(2012)
①Wistarラットによるアルコール投与試験により、肝機能保護作用が認められた。
②加齢ICRマウスにクリルオイルを摂取させっところ、生殖機能の改善が見られた。
③ヒト臨床試験において、クリルオイル摂取による脳機能賦活化指標(酸素化ヘモグロビン)の濃度向上=脳機能の改善が見られた。

15.新規機能性素材クリルオイルの生理活性
出典:食品と開発,Vol.49,No.2,8-11(2014)
60~72歳の献上男性45名を対象に、15名ずつ、1日あたりイワシ油2g(EPA 491mg+DHA 251=742mg/day)を摂取する群、クリルオイル2g(EPA 193mg+DHA 93mg=285mg/day)を摂取する群、EPA/DHAともに含まないプラセボ(中鎖脂肪酸2g)を投与した群に分け、12週間のダブルブラインド試験を実施し高齢者の脳機能への影響を見た。
クリルオイル投与群では脳内の酸素化ヘモグロビン濃度が高まり、脳の活性化が顕著であった。
肝機能に関しては、オリーブ油3mg/kg(対象群)、クリルオイル200mg/kg(低投与群)、クリルオイル1000mg/kg(高投与群)をラットに単回経口投与し、1時間後に12mL/kgのアルコールを経口投与し、肝機能への影響を見た。
クリルオイル投与群では、血中のアルコール濃度上昇、酩酊状態、血中のAST及びALTの上昇が抑制されたことから、クリルオイルには肝臓への傷害を抑止する機能があると推定された。
アルコール性脂肪肝モデルラット作成時にクリルオイルを摂取させると、アルコール性脂肪肝の形成が抑制された。

16.n-3系脂肪酸素材クリルオイルの機能性
出典:脂質栄養学,Vol.23,No.1,23-28(2014)
ナンキョクオキアミ由来のクリルオイルは、リン脂質に結合したn-3系多価不飽和脂肪酸に富んでおり、肝機能障害への保護、アルコール性脂肪肝形成抑制及び改善、生殖機能改善の効果が動物実験で確認された。
ヒトの脳機能改善試験では、n-3系多価不飽和脂肪酸含有トリグリセリド型のオイル(魚油)と比較し、明らかに機能改善効果が大きかった。

17.美容分野でのオイルの存在感。クリルオイルの健康・美容効果
出典:Crebeaux,No.83,20-22(2015)
クリルオイルオイルはEPAが13%以上、DHAが5%以上と高く、体内に吸収しやすい特徴があり、脳の老化防止、高脂血症の改善、肝機能の改善、生殖異能の向上、心筋梗塞の予防効果が知られている。
また、強力な抗酸化成分と知られるアスタキサンチンを含有していることにより、持久力向上、抗疲労食材として非常に有望であると考えられる。

 

クリルオイルに関しては世界的にまだまだ研究途中ですが、当研究室ではコルディとクリルオイル(南極オキアミから抽出したEPA/DHA)の相互作用、クリルオイルの単独投与での作用についても研究を行っています。

 

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監修獣医師:林美彩  所属クリニック:chicoどうぶつ診療所

林美彩

代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。