
犬種別に見るパテラのリスクと早期発見のチェックポイント
犬の健康管理において、パテラ(膝蓋骨脱臼)は特に注意が必要な疾患です。特に小型犬種でよく見られるこの症状は、早期発見が鍵となります。パテラは、犬が「スキップ」や異常な歩き方をする際に疑われることが多く、その原因としては遺伝的要因や生活環境が挙げられます。例えば、トイプードルやチワワ、ポメラニアンなどの小型犬種は、このリスクが高いとされています。また、肥満や滑りやすい床なども悪化要因となり得ます。早めの診断と適切な治療によって、愛犬の快適な生活をサポートすることができます。本記事では、犬種別のリスクと共に、パテラの初期症状や発見方法について詳しく解説します。愛犬の健康を守るためには、日々の観察と迅速な対応が不可欠です。
パテラとは何か
パテラ、または膝蓋骨脱臼は、犬の膝関節に起こる一般的な障害です。特に小型犬に多く見られ、遺伝的要因が大きく影響しています。この状態では、膝蓋骨が正常な位置から外れてしまい、歩行や運動に支障をきたすことがあります。パテラには「グレード1」から「グレード4」までの重症度があります。軽度の場合は自然に戻ることもありますが、重度の場合は手術が必要になることもあります。
パテラの原因
主な原因
1. 遺伝的要因(先天性)
- 特に”小型犬種(チワワ、トイプードル、ポメラニアンなど)”に多く見られます。
- 親犬からの遺伝により、生まれつき膝の構造が弱いことが原因です。
- ブリーディング時の選別管理がとても重要です。
2. 外部からの強い衝撃(後天性)
- 高所からのジャンプや落下
- 滑りやすい床での激しい動き
- 膝に強い衝撃が加わることで脱臼が発生します。
3. 成長期の栄養バランスの乱れ
- カルシウムやタンパク質の過不足は骨格の形成に悪影響を及ぼします。
- 特に成長期の食事管理が重要です。
4. 過剰な運動・無理な運動
- 幼犬期の過度なジャンプやランニングは、関節に大きな負担をかけます。
- 運動量は犬の月齢・体格に応じて調整しましょう。
飼い主ができること
パテラの予防や進行の抑制には、飼い主による日常的な配慮がとても重要です。まず、室内の床が滑りやすい場合は、マットやカーペットを敷いて犬が安定して歩ける環境を整えましょう。特にフローリングは滑りやすく、関節への負担が大きくなるため注意が必要です。また、ソファやベッドなどの高い場所へのジャンプは膝に強い衝撃を与える可能性があるため、家具の配置を工夫して犬が無理に飛び乗ったり飛び降りたりしないようにすることも大切です。定期的な健康診断を受け、膝関節を触診してもらうことで早期に異常を発見できる可能性が高まります。さらに、繁殖を考えている場合は、事前に遺伝的なリスクについてしっかりと確認し、疾患の予防につなげることが望まれます。このような日々の小さな積み重ねが、犬の関節の健康を守る大きな鍵となります。
典型的な症状
初期段階では犬がスキップするような歩き方をすることがあります。また、座り方にも異常が見られることがあります。「お姉さん座り」と呼ばれる後ろ足を横に崩した姿勢は注意信号です。これらの症状を見逃さずに早期発見することで、愛犬の健康を維持することが可能です。
犬種別リスクと注意点
パテラは特定の犬種でより発生しやすい傾向があります。トイプードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなど、小型で活発な犬種は特に注意が必要です。また、フレンチ・ブルドッグのような体重バランスが取りづらい犬種もリスクが高まります。
小型犬種への影響
小型犬では膝関節自体が小さく繊細であるため、少しの外力でも脱臼しやすい特徴があります。そのため、高所から飛び降りたり滑りやすい床で走ったりするとリスクが増します。飼い主としてこれらの日常的な危険を把握し、防ぐ努力をすることが重要です。
大型犬種への影響
大型犬でも稀にパテラを発症することがあります。この場合、多くは後天的要因によるものです。肥満による関節への負担や過度な運動によって膝蓋骨にストレスがかかることがあります。適切な体重管理と運動量の調整が鍵となります。
早期発見と治療法
パテラの早期発見は愛犬の健康維持に欠かせません。日常生活で異変を感じた場合には速やかに獣医師へ相談しましょう。
診断方法
診断には主に物理検査とX線検査があります。物理検査では獣医師が膝関節を触診し、異常な動きを確認します。またX線検査によって詳細な状態を把握し、適切な治療法を決定します。
治療法
治療法には保存療法と手術療法があります。軽度の場合は安静とサプリメントによる関節サポートで改善されることもあります。しかし重度の場合は手術による修正が必要です。手術後にはリハビリ期間も含めた長期的なケア計画を立てることになります。
予防策と日常管理
日頃から予防策を講じておくことで愛犬の健康維持につながります。
適切な食事管理
肥満は関節への負担を増加させるため避けたい状態です。高品質なたんぱく質とオメガ-3脂肪酸豊富な食事で体重管理を行うことでリスク軽減につながります。
環境設定
滑りやすい床材質や高所から飛び降りないよう工夫することも重要です。また、適切なおもちゃ選びも怪我予防につながります。
適切な食事管理
肥満は関節への負担を増加させるため避けたい状態です。高品質なたんぱく質とオメガ-3脂肪酸豊富な食事で体重管理を行うことで、パテラ発症や悪化のリスク軽減につながります。特に、オメガ-3脂肪酸(EPA・DHA)の中でも、南極オキアミ由来のクリルオイルは吸収率が高く、関節の炎症を抑える効果が期待されている成分として注目されています。さらに、クリルオイルに含まれるアスタキサンチンには抗酸化作用があり、細胞の健康を保つ働きも報告されています。こうした栄養補助は、軽度のパテラや膝への不安を抱える犬に対して、食事管理と併せて補完的に取り入れることが可能です。ただし、使用にあたっては獣医師の助言を受けながら適切に取り入れることが望まれます。
愛犬との生活の中で気になる点があれば早めに対応し、安全で快適な生活環境を整えてあげましょう。
犬のパテラに関するQ&A
Q1: パテラとは何ですか?
A1: パテラは、犬の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置から外れる状態を指します。特に小型犬で多く見られ、痛みや歩行困難を引き起こすことがあります。
Q2: パテラになりやすい犬種はありますか?
A2: はい、小型犬種が特にパテラになりやすいと言われています。例えば、チワワやヨークシャーテリアなどが挙げられます。これらの犬種は、遺伝的要因や骨格の問題が影響していることが多いです。
Q3: パテラの症状にはどんなものがありますか?
A3: 主な症状には、足を引きずる、歩行時に不自然な動きをする、痛みを訴えるなどがあります。これらの症状が見られる場合は早めに獣医師に相談することが重要です。
Q4: パテラの原因は何ですか?
A4: パテラの原因としては、遺伝的要因が大きく関与しています。また、肥満や過度な運動、高い場所からのジャンプなどもリスクを高める要因となります。
Q5: どのようにしてパテラを予防できますか?
A5: 適切な体重管理と運動量の調整が重要です。また、滑りにくい床材を使用し、高い場所から飛び降りさせないよう注意しましょう。定期的な健康チェックも欠かせません。
Q6: 早期発見のために飼い主ができることはありますか?
A6: 日常的に愛犬の歩行状態を観察し、不自然な動きや痛みを感じている様子があればすぐに獣医師へ相談しましょう。早期発見と適切なケアで進行を防ぐことが可能です。
Q7: パテラと診断された場合の治療法は何ですか?
A7: 治療法はグレードによって異なります。軽度の場合は生活環境の改善や体重管理で対応しますが、重度の場合は手術が必要になることもあります。獣医師と相談し最適な治療法を選びましょう。
愛犬の健康管理には日々の観察と適切なケアが欠かせません。
まとめ
パテラ(膝蓋骨脱臼)は、特に小型犬に多く見られる疾患であり、早期発見が健康維持の鍵です。遺伝的要因や生活環境がリスクを高めるため、飼い主は日常的な観察が重要となります。スキップするような歩き方や「お姉さん座り」といった症状を見逃さず、異変を感じたら速やかに獣医師の診察を受けましょう。適切な診断と治療によって、愛犬の快適な生活をサポートできます。また、肥満防止や滑りにくい環境の整備も効果的です。これらの対策を講じることで、愛犬の健康と長寿を守ることが可能です。飼い主として日々のケアを怠らず、安全で安心な生活環境を提供しましょう。
監修獣医師:林美彩 所属クリニック:chicoどうぶつ診療所

代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。
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