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犬や猫の癌治療後の再発率は50%以上
犬や猫の癌の多くは治療後に再発してしまいます。
犬猫の全がんの再発率は、ゆうに50%を超えているようです。
なぜ癌は再発してしまうのでしょうか?抗がん剤で対応できるのか?そもそも再発を防ぐ方法はないのか?
がんに関する正しい情報が出回っていないため、飼い主様はご愛犬やご愛猫が癌治療を受けた後に何をしたら良いのかわかりません。
実際に再発予防の取り組みを行っているのは一部の飼い主様に限られているのが現状だと思います。
獣医師の多くも獣医大学で癌の再発率を抑える方法を習っていませんので、獣医師からの提案もあまり期待できないかもしれません。
したがって、ご愛犬やご愛猫が癌の治療を受けた後のフォロー・再発予防の手立ては飼い主の皆様が主体となり行っていく必要があります。
でもどんなことをすれば再発は防げるの?再発予防の方法が知りたい!という皆様のお役立ちができればと思い、このページを作成しました。
ご愛犬、ご愛猫がせっかく頑張って辛い治療を受けたのですから、なんとかして再発率を下げて、ワンちゃんがワンちゃんらしく、猫ちゃんも猫ちゃんらしく過ごせるようにしていただきたいと思います。
癌の再発・癌の転移とは
手術や抗がん剤治療で一度は見えなくなったがんが、その後再び見えてきたとき、それが癌の再発です。
もしがん細胞が存在していても、塊が小さくて検査で見つからなければ再発したとは言いません。大きな塊も見過ごしてしまえば再発とはなりませんので、検査機器の精度、獣医師の熟練度などによって、再発と診断されるタイミングは変わります。もともとがんがあった場所に再発したときは、局所再発と呼ばれ、離れた臓器やリンパ節に再発したときは、遠隔転移もしくは単に転移と呼ばれます。
例えばメラノーマの手術をして、癌は取りきれたようにみえても、数ヶ月に再びメラノーマの塊が見つかったら再発です。
例えば乳腺腫瘍の手術で癌を取りきれたが、半年後に肺に癌が転移すれば、それは転移です。
再発や転移は、ある程度がんが大きくならなければ見つかりませんし、ある程度大きくなるまでは症状もでませんので気が付きません。
毎週のように精密検査を受けていれば、多少発見時期が早くなるかもしれませんが、実際の所、再発や転移の発見が多少早まったとしてもその後の予後はあまり変わりません。
これは人間の場合も同じです。ですから「がんの手術後に再発・転移を早く見つけるために毎月CT検査をする」ということはしません。
特に遠隔転移した場合は既に癌が血流やリンパ液の流れに沿って癌が全身を巡り、例えば肺や肝臓などに辿り着き、そこで癌が成長したという事ですから、癌は既に全身に拡がっていると考えるのが妥当であり、手術で癌を完全に切除することはできないのです。
切除が難しい場合、通常は抗癌剤治療などを行いますが、抗癌剤は一時的に癌を縮小させたり、癌の進行を遅くすることはできるかもしれませんが、薬剤耐性の問題や副作用の問題があるため癌を治すには力不足なのです。
なぜ、がんは再発してしまうのか
犬や猫の癌が再発・転移してしまうのは治療をしたにも関わらず、がん細胞を体内に残してしまうことが根本的な理由です。
- 外科手術後の再発・・・がん細胞を取り残している。
- 抗がん剤治療後の再発・・・がん細胞を叩ききれていない。
がん細胞の取り残しは少しも珍しいことではありません。
がんは早い段階で小さな転移(微小転移)を起こします。そのため手術でがん細胞の塊(腫瘍)を取り除いても、微細な癌細胞を取り残してしまうケースが珍しくないのです。
悪性リンパ腫などの抗がん剤が良く反応するがんでは、血液を調べてがん細胞がいなくなる状態(寛解状態)まで持ち込めますが、血液以外の場所にがん細胞が隠れています。
また、外科手術で癌を綺麗に取れたとしても、そもそも癌になってしまった犬や猫の身体は何も変わっていません。
生活習慣も意識をしなければ変わりません。
つまり、表面に現れた「癌」という現象は取り除けたかもしれませんが、根本的に癌になり難い環境づくり、体質づくりはしていませんから、癌になりやすい身体のままなのです。
癌の再発は免れないのか?
では犬や猫の癌が再発するのは必然なのでしょうか。癌の再発を防ぐことはできないのでしょうか。
再発・転移を防ぐためには、手術や抗癌剤治療を受けたあとに体内に残ってしまっているがん細胞を駆逐すれば良いのです。
あるいは、癌になり難い体内環境づくりをしてあげればよいのです。
癌細胞を完全に駆除できなくてもがん細胞数を増やさないことです。犬や猫の寿命までがん細胞を少ないままにしておけば再発する前に寿命が訪れますので、結果として再発を防げたことになります。
癌の再発・転移を防ぐことができるかは、犬自身、猫自身にかかっています。彼らの中にある免疫の働きにかかっています。
私たち人間に限らず、犬や猫にも免疫が備わっています。
犬や猫の体内では毎日何百、何千という癌細胞が発生しています。
免疫の働きがしっかりしていれば、発生した癌細胞を見つけ出し、癌細胞を攻撃し、排除していくという一連の流れにより、癌が増大するのを防ぐことができます。
しかし、何らかの原因により免疫の働きが悪くなると、癌を見つけられなくなってしまったり、攻撃力が弱くなってしまったり、またそのいずれもが機能しなくなってしまいます。
こうなると癌はどんどんと分裂をして増えていくようになります。
免疫の力はとても大切です。
飼い主様は、癌を患ってしまったからといってあきらめたり、運を天に任せるのでなく、ご愛犬、ご愛猫の免疫をサポートするための、良い取り組みを始めてください。
手術後の抗がん剤治療で癌の再発は防げる?
抗癌剤治療だけでは癌の再発を抑えることは難しいのが実情です。
「手術後に抗がん剤治療をプラスしたおかげで助かった犬猫は、何%くらいいると思いますか?」と質問すると、50%くらいと思っている人が多いようです。少なくとも30%以上だと思っている人が大部分でしょう。
しかし実際はそれほど多くのケースで再発・転移は防げていません。
抗癌剤の効果の限界を知っている獣医師(の本音)は「術後の抗癌剤で癌を治すことは容易ではない」という事を知っています。
それにも関わらず手術後の抗がん剤治療は標準治療だと言われており、飼い主様を惑わせています。
これは重要な事ですが、抗がん剤の「効く」は、がんが治るという意味ではありません。抗がん剤の効くは、次のような意味です。(固形癌の場合)
「一時的にでも良いので、腫瘍が小さくなれば効果あり。その後悪化しても効果あり。症状が緩和するだけでも効果ありとする。延命するか否かは問わない。」
それで抗がん剤を一生続け、腫瘍を小さいままにすれば良いのでは?と思われるかもしれませんが、次のような理由から何年も抗癌剤を続けることは難しいのです。
- がんは、抗がん剤に対して耐性を獲得するので、だんだん効かなくなる。
- 抗がん剤の副作用は厳しいため、長期間投与すると体がもたない。
- 抗がん剤は増がん剤と言われる通り、新たながんを発生させてしまう可能性がある。
- 延命するケースもあれば短命になるケースもある。副作用死もありえる。
- がんとの闘いが、抗がん剤との闘いになりがち。
- 抗がん剤によりほぼ確実に免疫力は低下する。
- そもそも抗癌剤が効き難い癌が多い
血液の癌の場合は抗癌剤に良く反応して寛解状態がながく続く事もありますが、乳腺腫瘍やメラノーマ、扁平上皮癌、肥満細胞腫などの固形癌は、そもそも抗癌剤の反応に乏しいので、術後に抗癌剤治療を追加で行っても、再発・転移予防にどれほどプラスになるのか疑問があります。
場合によっては抗癌剤の副作用で苦しみが増してしまい、犬や猫のQOL(生活の質)が低下しただけだったということにもなりかねません。
ですから術後に抗がん剤を使うかどうかは、複数の獣医師に相談するなどして情報を集め、よく考えて判断して頂きたいと思います。
抗癌剤の効果や副作用について「知らなかった」と後悔することがないように、慌てずに納得してから治療を受けて頂きたいと思います。
なおエビデンス(科学的根拠)があると説明されることがあるかもしれません。「エビデンスがある」と言われると、なんとなく良さそうに思えてしまいますが、「エビデンスがある=有効な治療」という意味ではありません。
しっかりとしたデータが有るという意味です。中には「1割の犬猫にはメリットがあったが、9割の犬猫には無意味だった。」程度のデータもあります。それでもエビデンスとなってしまいます。
なぜ癌が再発しない犬や猫がいるのか
癌治療後に再発・転移しないのは、手術や抗がん剤治療でがん細胞が残ってしまっていても犬自身、猫自身が癌の増殖を抑え再発・転移を抑えているからです。
みなさんご存知の「免疫」の働きが、がんを抑えているのです。
術後の免疫の良し悪しが、再発率に大きく影響しています。免疫を整える事は癌の再発・転移を防ぐという目的ではもっとも重要な要因だと言っても良いと思います。
日本人は免疫を軽んじ、医療に重きをおく傾向がありますが、あくまでも医療というものは自己治癒力を補助するもので、多くの慢性疾患は自己の治癒力(免疫力)で病気を治しています。
とにかく、免疫を良好な状態にすること。それができている犬や猫の再発率は確実に下がると思われます。
免疫を高める手段はいくつもあります。良い食事からの適切な栄養補給、運動、ストレス管理など、獣医師の手を借りなくても自宅でできることもたくさんあります。
ぜひともいままでの生活習慣を見直してください。
癌の再発・転移を防ぐ免疫対策
悪性リンパ腫や乳腺腫瘍、メラノーマや肉腫など手術後数ヶ月から1年以内に再発しやすい癌でも、しっかりと免疫対策をすることで数年以上にわたり再発・転移を抑えているという報告は少なくありません。
コルディはワンちゃん、ネコちゃんの免疫を整え体調を維持することが期待できます。当研究室ではコルディが免疫力調整の効果があるか研究を行っております。
コルディを使用した獣医師の先生方や飼い主様から癌治療後の長期生存例、元気食欲を維持している例が多数報告されています。
大切なご家族であるご愛猫が癌と診断されたら、積極的に免疫対策をご検討ください。
ご不明な点がございましたら、お問合せ下さい。
監修獣医師:林美彩 所属クリニック:chicoどうぶつ診療所
代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。
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