猫の寿命もぐんぐん伸びていて、今や20歳を超えるこも少なくありません。
それと同時に、細胞も老化していきますので、様々な疾病を引き起こしてしまいます。
その中でも、コルディ研究室にご相談の多い
①腎不全
②腫瘍
③甲状腺機能亢進症
について、それぞれまとめていきます。
腎不全
シニアになるにつれて腎不全を患ってしまう子は本当に多く、海外では15歳以上のネコちゃんの30%が慢性腎不全を患っているという報告もあります。
というもの、猫はもともと砂漠の生き物。
あまりお水を飲むという習慣がないため、おしっこが濃縮されやすく、腎臓に目詰まりを起こしやすいことが原因と言われています、
また、2016年に行われた調査で、猫の腎臓では「AIM」と呼ばれる特殊なタンパク質が十分に機能していないことが、慢性腎臓病の素因になっている可能性も示されています。
腎不全を予防するためには、まずしっかりと水分を摂ること。
水飲み場を増やしてみたり、水を入れる容器や温度を変えるだけでも飲水量は変わります。
水飲み場の数は飼育頭数×2+2個が推奨されています。
ちょっと多いかな?と思いますが、色々なところに置いておくことで、お気に入りの水飲み場が何か所か見つかれば、そこだけにしても構いません。
少なくとも、1頭に対し最低2か所は確保してあげてください。
フードをドライからウェットに変更するのも1つの方法です。
また、せっかく水分を摂取しても、体の巡りが悪いと単なる「むくみ」となり、むくんだ部分が冷えることで免疫細胞が働きにくくなってしまいます。
嫌がらない程度にマッサージを行ってあげたり、腰回りを温める(もしくは冷やさないようにする)ことでも、体の巡りを整えやすくなりますので、是非お試しください。
猫の腎不全に関しては別記事でもご紹介しておりますので、こちらもご参照ください。
◆猫や犬の腎不全
◆猫の腎臓病
腫瘍
ネコちゃんだけに限らないお話ですが、ご年齢が高齢になればなるほど、免疫力はどんどん低下していきます。
腫瘍細胞は私たち健康な個体でも毎日発生していますが、それが「しこり」としてあらわれてこないのは、免疫細胞たちがしっかり働いてくれているからです。
しかし、年を重ねるとともに、免疫細胞たちがうまく働きにくくなることから、腫瘍細胞がどんどんと分裂・増殖し、腫瘍として表れてしまいます。
腫瘍ができてしまわないためには、免疫バランスをしっかりと安定させることだけでなく、日頃からストレスを与えないようにしてあげたり、有害な物質(添加物の豊富なお食事や、芳香剤・柔軟剤などの香り成分など)を避けるような環境にしてあげることが重要です。
東洋医学的な考え方では、体の巡りに滞りが起きている場所に腫瘍が発生しやすいともされています。
前述の腎不全の予防にも書きましたが、体の巡りを整えてあげることもとても重要ですので、温めやマッサージなども取り入れてみてください。
甲状腺機能亢進症
新陳代謝や体温調節など、健康に生活するために欠かせないホルモンを分泌している甲状腺という組織の調節能力が破綻し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。
シニア猫で発症しやすく、メスよりもオスで発症が多い傾向にあります。
代謝が活性化されすぎてしまうため、食欲旺盛なのに痩せてきてしまったり、大声でよく鳴く、お水を沢山飲む、体が火照るなどの症状が現れます。
原因としては甲状腺の腫瘍や環境要因、免疫、遺伝など様々で、近年は長寿化してきたことによって罹患率も高いように感じます。
甲状腺機能亢進症の予防は難しいですが、免疫バランスを安定化させることで、少なくとも腫瘍による甲状腺機能亢進症の発症は予防できるのではないかと考えられます。
甲状腺機能亢進症に関しては、別記事で詳しく掲載しておりますので、こちらも併せてご参照ください。
◆猫の甲状腺機能亢進症
猫の免疫力回復のために
免疫を安定化させることは、健康維持のために欠かせないことです。
コルディによって免疫力が整ってくれば、シニアになっても健やかで穏やかな生活が送れることは不可能ではありません。
コルディ研究室ではシニア猫に多い病気と栄養の関係についても研究を進めてまいります。
代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。