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まず結論:犬猫の肝臓がんは初期症状が分かりにくい ― 早期発見のために知っておきたいサイン
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、障害があってもすぐには症状が出にくい臓器です。犬や猫でも同様で、食欲や元気が落ちて初めて異変に気づくケースが少なくありません。だからこそ、飼い主が日常の小さな変化に気づくことが早期発見の第一歩になります。
今すぐ動物病院を受診すべきサイン
- 食欲が数日以上落ちている
- 元気がなく、寝てばかりいる
- 嘔吐や下痢が続く
- 白目や歯ぐきが黄色っぽい(黄疸)
- お腹が張って見える、触ると嫌がる
これらが見られた場合は、できるだけ早く動物病院へ。特に黄疸や腹部膨満は、肝機能障害の進行を示すことがあります。
数日以内の受診を考えるサイン
- 尿の色が濃い(オレンジ〜茶色)
- 体重が少しずつ減っている
- 被毛のツヤが落ち、毛並みが荒れてきた
- 以前より水をよく飲む、尿の量が増えた
こうした「じわじわとした変化」も、早期のサインであることがあります。
迷ったときの判断 ― 「様子を見る」より「相談する」
肝臓の異常は、初期に限っては症状が軽いことも多いですが、放置すると進行が早いのが特徴です。不安な場合は、「いつものかかりつけ」で一度血液検査を受けることをおすすめします。
初期症状チェック ― 飼い主が気づける三つの視点
元気・食欲・体重の変化
犬猫の健康変化は、まず「食べる・動く・体重が変わる」に現れます。毎日の食欲量やおやつの食べ方、体重の推移を記録しておくと、異変に早く気づけます。
目や歯ぐきの黄ばみ
白目や歯ぐきが淡く黄色く見える場合は、胆汁色素の増加(黄疸)の可能性があります。照明の色ではなく、自然光で確認するのがポイントです。
尿・便・行動の変化
尿が濃くなったり、便の色が灰色っぽくなる場合も肝臓の異常が関係します。また、静かに過ごす時間が増えたり、階段を嫌がるなどの行動変化も見逃さないようにしましょう。
血液検査で肝臓の異常を指摘されたときの考え方
再検査を勧められた場合に放置してはいけない理由
肝臓は再生能力が高い臓器ですが、障害が続くと取り返しがつかない変化を起こします。再検査の指示があった場合は、1〜2週間以内に再チェックを。
脂肪肝・慢性肝炎から進行するリスク
犬猫の肝臓がんは、慢性的な炎症や脂肪肝を背景に発生することがあります。高脂肪食や肥満、薬剤性の影響などもリスク因子です。
食事・薬・サプリメントとの関係
肝臓は代謝の中心臓器であり、食事成分や薬、サプリの影響を強く受けます。動物病院で相談する際は、与えているフード・おやつ・サプリを正確に伝えることが大切です。
動物病院での検査と相談のポイント
検査で分かること
- 血液検査:ALT・AST・ALP・GGTなど肝酵素値の上昇を確認
- 腹部エコー:肝臓の形・腫瘍・脂肪沈着・胆道の異常をチェック
- X線・CT検査:腫瘍や転移の評価
飼い主が伝えるとよい情報
- 食欲・元気・排泄の変化
- 使用中の薬やサプリメント名
- 体重の推移や過去の検査結果
似た症状を示す病気にも注意
胆管炎、膵炎、リンパ腫なども肝臓がんと似た症状を示すため、総合的な検査判断が必要です。
検査の内容と負担 ― ペットに優しい診断を選ぶ
腹部エコー検査
無麻酔で行えるため、動物への負担が少なく、最初のスクリーニングとして推奨されます。
血液検査で見る主な指標
- ALT・AST:肝細胞の炎症
- ALP・GGT:胆道系の障害
- ビリルビン:胆汁うっ滞や黄疸の指標
追加で行う検査
腫瘍が疑われた場合は、CTや細胞診(針生検)などが必要になることもあります。
緊急性の見極め ― すぐに受診すべきサイン
夜間・休日でも受診すべき症状
- 激しい嘔吐、ぐったりして動かない
- 白目・歯ぐきがはっきり黄色い
- お腹が急に膨れて呼吸が苦しそう
- 意識がぼんやりしている
数日以内に受診すべき症状
- 食欲・元気の低下が3日以上続く
- 尿が濃い・体重減少が見られる
観察でよいケース
軽い食欲不振や一時的な元気低下でも、記録をつけながら早めの相談を。
飼い主が今日からできる3つの行動
① 体調変化をメモする
食事量・排泄・元気・体重を簡単に記録しておくと、受診時に役立ちます。
② 与えているものを整理する
フード、サプリ、薬を一覧にしておき、病院で提示できるようにしましょう。
③ 家族で共有する
家族で観察を分担し、異変に気づいたらすぐ情報を伝え合うことが大切です。
よくある質問
肝臓がんは初期に治療できるの?
早期に見つかれば手術や内科的管理で良好な経過をたどるケースもあります。発見が遅れるほど治療選択が限られるため、定期検診が重要です。
血液検査だけで分かる?
肝酵素値の変化で疑うことはできますが、確定診断には画像検査が必要です。
検査や治療の費用は?
動物病院によりますが、血液検査は数千円、エコー検査は5,000〜10,000円前後が一般的です。(保険適用の有無や施設設備によって異なります)
まとめ
犬や猫の肝臓がんは、症状が出にくいぶん早期発見が鍵になります。小さな異変を見逃さず、定期的な健康診断と記録の習慣を。「いつもと違う」と感じたときが、行動のタイミングです。
当研究室では、コルディを投与することで免疫調整ができるのか、QOL(生活の質)の維持・改善ができるのか、癌への効果が期待できるのか研究を行っています。
ご不明な点がございましたら、お問合せ下さい。
監修獣医師:林美彩 所属クリニック:chicoどうぶつ診療所

代替療法と西洋医学、両方の動物病院での勤務経験と多数のコルディの臨床経験をもつ。 モノリス在籍時には、一般的な動物医療(西洋医学)だけでは対応が困難な症例に対して多くの相談を受け、免疫の大切さを痛烈に実感する。
ペットたちの健康維持・改善のためには薬に頼った対処療法だけではなく、「普段の生活環境や食事を見直し、自宅でさまざまなケアを取り入れることで免疫力を維持し、病気にならない体づくりを目指していくことが大切である」という考えを提唱し普及活動に従事している。
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